2月3日 読売新聞(夕刊) すてきON&OFF ~ 『 介護体験講談ネタに 』 ~
聞き手 飯田祐子 写真・安斎晃
自身の体験を基に、介護の苦労を笑いに変える講談を披露しています。 最初の介護は、18歳の時。脳外科手術の後遺症で、植物状態になった実母を懸命に世話 しました。その次は、夫の母です。私は30歳代で一人娘がまだ小さく、子育てと介護の「ダブルケア」は大変でした。 講談でニツ目に昇進すると、「介護経 験を講談にして語ってほしい」との依頼を受けました。介護保険もない時代でしたが、これが評判になり、仕事が増えました。 2005年、夫の父が脳梗塞で倒れ、認知症になりました。家族交代での世話が続くと、疲れがたまります。看護師の友人に「(介護する人とされる人が)共存共栄でないと続かない」と言わ れ、「手抜きでもいい」と腹を据えたら楽になりました。初めは不自由な体にいらついていた義父自身も、状況を受け入れたようです。穏やかになった義父と の少しずれたやりとりが楽しく、共存共栄、講談のネタをたくさんもらいました。最期は自宅に親族が集まり、万歳三唱で見送りました。昨年、私の介護講談を記録したドキュメンタリー映画が公開されました。介護の暗いイメージを、これからも話芸で吹き飛ばしていきたいですね。
2017年2月3日 読売新聞(夕刊) すてきON&OFF欄 より抜粋